【一級小型船舶操縦士】筆記試験に一発合格する為の勉強法

資格取得
監修者

気象予報士・一級小型船舶操縦士保有:田頭孝志

田頭気象予報士事務所代表趣味はアウトドア全般。釣り雑誌やボート雑誌で気象学の連載。

愛媛県をはじめ、日本列島各地で河川や湖、海でのボートレジャーが盛んです。

小型船舶の資格で最上位となるのが一級小型船舶操縦士ですが、いきなり一級小型船舶操縦士を取得することも可能です。

一級小型船舶操縦士の免許を取得するためには、筆記試験と実技試験に合格しなければなりません。

筆記試験の対策には、スクールに通う方法と独学で進める方法の2通りがあります。 

なかには「実技試験はスクールの教習で確実に技術を習得し、筆記試験は独学で挑戦したい」という方も多いのではないでしょうか。

一級小型船舶操縦士の筆記試験は、二級に比べて出題範囲が広くなり、内容も専門的で難易度が高まります。しかし、出題傾向を正しく把握し、計画的に学習を進めることで、独学での一発合格は決して難しくはありません。

本記事では、一級小型船舶操縦士の筆記試験に独学で一発合格した経験をもとに、具体的な勉強方法を紹介します。

一級小型船舶操縦士筆記試験の概要

一級小型船舶操縦士筆記試験の概要

一級小型船舶操縦士は、航行区域に制限のない小型船舶免許です。

その筆記試験は、二級の内容をベースにしつつ、より高度な航法や気象、機関の知識が問われるものとなっています。

まずは一級小型船舶操縦士筆記試験の出題範囲や合格率について把握しておきましょう。

一級小型船舶操縦士筆記試験の出題範囲

一級小型船舶操縦士筆記試験の出題範囲

一級の筆記試験は、大きく分けると「二級と共通の科目」と「一級専用の科目(上級運航)」の2つで構成されています。

二級と一級の共通の範囲(50問)

基礎的な知識を問う内容です。

二級小型船舶操縦士を所有している方が一級を受験する場合はこの科目が免除されます。

  1. 心得及び遵守事項(12問):船長の心得、マナー、関係法令など。
  2. 交通のルール(14問):海上衝突予防法、港則法、海上交通安全法。
  3. 運航(24問):操船、ロープワーク、気象の基礎、エンジンの基礎、事故対策。

一級専用の範囲:上級運航(14問)

応用的な知識を問う内容です。

二級小型船舶操縦士を所有している方は14問のみ、資格を取得していない場合は先ほどの50問とあわせて64問が出題されます。

運航(上級 I ):航海計画と気象(8問)

  • 航法(海図): 三角定規とコンパスを使い、海図上で自船の位置やコースを算出する実技的な計算問題。
  • 流潮航法: 海流や風の影響を考慮した進路決定。
  • 気象・海象: 高度な天気図の解読、台風の性質、霧の発生メカニズム、潮汐の比例計算。
  • 荒天等における操船: 荒天時の操船技術や、海難を未然に防ぐための高度な判断力。

運航(上級 II ):機関(エンジン)(6問)

  • ディーゼルエンジンの構造: 二級よりも深い内部構造や、電気系統の知識。
  • 故障時の診断と応急処置: 海上でのトラブル(エンジンの停止や異音)に対する論理的な診断法。

これらを見ると専門的で難解に思えますが、それぞれの出題パターンを整理し、ポイントを絞って対策することで一発合格も可能です。

参考:国土交通省「試験の概要」

一級小型船舶操縦士筆記試験の合格基準

一級小型船舶操縦士筆記試験の合格基準

一級小型船舶操縦士筆記試験は、以下の2つの条件を満たすことで合格となります。

  • 各科目の得点:各科目で50%以上の正答
  • 全体の合計点:64問中42問以上(約65%)の正答

それぞれの科目の問題数と合格基準を下の表にまとめています。

区分試験科目問題数合格基準(各科目50%以上)
一般科目操縦者の心得及び遵守事項12問6問以上
交通の方法14問7問以上
運航24問12問以上
上級科目上級運航 I8問4問以上
上級運航 II6問3問以上
合計全5科目64問42問以上(総合65%以上)

どれか一つの科目でも正解率が50%を下回ると不合格となります。

一発合格するためには、それぞれの基準をクリアし、さらに総合で64問中、42問以上の正解が必要です。

一級小型船舶操縦士筆記試験の合格率

一級小型船舶操縦士筆記試験の合格率

一級小型船舶操縦士の筆記試験の合格率は、例年80%〜90%前後で推移しています。

合格率だけで見ると難関資格ではないように感じるかもしれませんが、この合格率にはボートスクールで講習を受けた受講生も含まれている点に注意が必要です。

独学で筆記試験の合格を目指す場合の合格率はさらに低くなります。

一級小型船舶操縦士筆記試験に一発合格する為の勉強方法

一級小型船舶操縦士筆記試験に一発合格する為の勉強方法

一級小型船舶操縦士の筆記試験は、正しい順序で対策すれば独学での一発合格が十分に可能です。 

ここでは、一級小型船舶操縦士筆記試験に一発合格する為の勉強方法とコツを紹介します。

まずは「小型船舶の航行の安全に関する教則」に目を通す

小型船舶操縦士の試験問題は 「小型船舶の航行の安全に関する教則」から出題されます。

この教則は、試験を実施する日本小型船舶免許機構(JMRA)の試験問題作成の根拠となるものであり、いわば「小型船舶操縦士試験の公式教科書」のようなものです。 

筆記試験で問われる心得、交通ルール、運航、上級科目のすべての知識はこの教則の中に含まれています。

ただし、膨大なページをいきなりすべて読み、完璧に暗記しようとするのは効率的ではありません。

まずは以下のポイントを意識して、全体に目を通すことから始めましょう。

  • 全体像と用語の把握: 最初にざっと目を通し、各科目の関連性や専門用語のイメージを掴みます。
  • 自分事として捉える: 教則の内容は海上での命を守るための実践的な知識や技術が詰まっています。自分が免許を取得し、ボートを操縦していることをイメージしつつ、どんな危険があるのかなど、具体的にイメージすると興味が出て頭に入りやすくなります。
  • 興味がある分野を読み進める:ざっと目を通して「エンジンの仕組みが面白そう」「気象の見方を知りたい」など、興味が引かれる分野があれば、そこから深掘りして読み進めましょう。

得意な分野や興味のある分野を足掛かりにすることで、学習のハードルが下がり、挫折せずに継続しやすくなります。

基本的な学習方法は過去問の往復

一級小型船舶操縦士の筆記試験対策において、効率的な方法は過去問の反復演習です。

この試験は、過去に出題された問題がそのまま、あるいは類似した形式で繰り返し出題される傾向が強いのが特徴です。そのため、基本的な学習スタイルは「教則で概要を掴んだら、すぐに過去問の往復に入る」という流れがよいでしょう。

やみくもに過去問を解くのではなく、以下のように具体的な目標を立てておくとスムーズです。

1周目:現状把握と弱点の洗い出し

まずは過去5年分の問題を、今の実力で解いてみましょう。

  • 印をつける:間違えた問題や、勘で答えた問題には必ず印をつけておきます。
  • 即座に復習:解き終わったらすぐに解説や教則を確認し、なぜ間違えたのかチェックします。

2周目:記憶の定着を確認 

1周目からあまり間を空けず、同じ問題に再挑戦します。

  • 「×」を重ねる:再び間違えた問題には、さらに印を重ねます。
  • 苦手分野の可視化:ここで「×」が2つ並んだ問題は、自分の苦手分野や理解が不十分な箇所として要チェックです。
  • 記憶の揺らぎをチェック:1周目で正解したのに2周目で間違えてしまった問題は、知識が定着しきっていない証拠です。そのような問題には別の色のマーカーでチェックを入れておき、わかったつもりを防ぐようにしましょう。

3周目:精度の向上と記憶の整理 

最後の仕上げとして、もう一度全問を解き直します。

  • 3回連続ミスを最優先に: 3回連続で間違えた問題は、自分の考え方のクセや根本的な理解不足があり、本番の試験でも間違える可能性が非常に高い項目です。重点的に学習が必要となります。
  • 記憶の混同を防ぐ:ここで注意したいのは「2回目は正解したのに、3回目で間違えた問題」です。そのような問題には違う色のマーカーを引き、他の間違いとは区別して集中的に復習できるようにしておきましょう。

このように「×」の数やマーカーの色で自分の弱点を浮き彫りにすることで、試験直前に見直すべきポイントが明確になります。

4周目以降:間違ったところを重点的に学習しつつ、他の知識が抜けていないか定期的にチェックする

3周の往復を終えると、自分がどこでつまずきやすいかが明確になります。

4周目以降は以下のポイントを意識しながら勉強を進めましょう。

  • 弱点の克服:3回連続で間違えた問題や、マーカーを引いた「記憶が混同しやすい問題」を重点的に学習します。単に答えを覚えるのではなく、教則に戻って「なぜその答えになるのか」という理屈を叩き込みましょう。
  • 全範囲の定期的なチェック:苦手分野に集中しすぎると、以前は解けていた基本問題の知識が抜け落ちてしまうことがあります。数日に一度は全範囲からランダムに数問解くなどのセルフチェックをしましょう。
  • 余裕があればさらに昔の過去問にも挑戦:もし過去5年分の問題をマスターし、余裕があるならば、さらに5年前より古い過去問にも挑戦してみてください。まれに古いパターンや珍しい問題が出題されることもあります。より多くの問題に触れることで、さまざまな問題に対応できる力が身につきます。

このように、過去問を何度も解くことが一級小型船舶操縦士筆記試験に一発合格する為の近道です。

一般科目よりも上級科目に比重を置く

一般科目よりも上級科目に比重を置く

一級小型船舶操縦士筆記試験に一発合格するコツは、一般科目よりも上級科目に勉強の比重を置くことです。

というのも、一般科目は心得及び遵守事項(12問)、交通ルール(14問)、運航(24問)で構成されています。それぞれ応用問題が少ないことに加え、問題数が多いため、数問ケアレスミスをしても十分にリカバリーが可能です。

一方、一級専用の上級科目は上級運航 I(8問)、上級運航 II(6問)しかありません。

8問中4問、6問中3問とそれぞれ半分は絶対に正解する必要があり、一般科目に比べてミスの許容範囲が狭くなります。

たとえば、6問出題される上級運航 IIで1問ケアレスミスをし、3問解くことができなかった場合、それだけで試験に不合格となってしまいます。

さらに上級運航 I には、ディバイダーを使用する海図問題が含まれます。

これは単なる暗記ではなく、実際に手を動かして作図し、答えを導き出す実技的要素の強い科目です。

過去問の答えを覚えるだけでは対応できず、作図の精度や手順を身体で覚える必要があるため重点的に学習する必要があります。

一発合格のためのスケジュールの立て方とポイント

一発合格のためのスケジュールの立て方とポイント

独学での学習は、自分自身でペースを管理する必要があります。

限られた時間の中で最大限の効果を出すためにもスケジュールの立て方とポイントを解説します。

試験日から逆算してスケジュールを立てる

試験日から逆算してスケジュールを立てる
Closeup Colorful drawing pins on Calendar page with date

一級小型船舶操縦士の筆記試験合格を目指すなら、学習時間は最低でも30時間以上は確保しておきたいところです。

1か月先に試験があるのであれば、1日1時間勉強する時間を確保する必要があります。また、週末にまとめて勉強する場合は、土日で8時間程度の勉強時間を確保しなければなりません。

まずは試験日から逆算してこの勉強時間を確保できるかをチェックし、余裕がある場合は多めに勉強時間を設けるのが理想的です。 

空き時間を有効に活用する

学習内容の性質に合わせて、勉強環境を効率的に使い分けるのがおすすめです。

  • 隙間時間の活用: 「交通のルール」や「心得」などの暗記科目は、通勤時間や休憩中にスマホアプリや過去問集を使って進めましょう。一般科目は問題数が多くリカバリーが利きやすいため、短時間の反復演習で効率よく学習を進めるのがコツです。
  • 集中できる時間の確保: 海図問題や計算を伴う「上級運航」は、腰を据えて取り組む必要があります。週末や寝る前など、実際にディバイダーを使って集中できる環境で練習しましょう。

限られた時間を有効に活用するためにも、事前に「この空き時間には〇〇の勉強をする」といったルールを決めておくとよいでしょう。

試験を受ける際の心得

試験当日は、これまでの努力を最大限に発揮するためのメンタルコントロールが大切です。

まずは確実に分かる問題から解いていきましょう。

マークシートが少しずつ埋まってくることで、次第に緊張も解けていき、本来の力を発揮しやすくなります。 

また、計算問題のように解くのに時間がかかる問題は後回しにしましょう。

1〜2問分からない問題があっても十分に合格できるため、一つの問題に固執する必要はありません。先に時間を使いすぎてしまうと、残りの問題が解けなくなったり、焦りからケアレスミスが発生しやすくなります。

また、勉強時間に比例して心に余裕を持って試験に挑みやすくなるため、試験当日に後悔しないためにも継続して学習することが大切です。

おわりに

一級小型船舶操縦士の筆記試験は、二級に比べて専門性が高く、特に出題数が少ない上級科目では、わずかなミスが不合格に直結する可能性があります。

しかし、出題傾向を正しく把握し、計画的に学習を進めていくことで、独学での一発合格は決して不可能ではありません。大切なのは、試験日から逆算した計画的な学習と、本番で実力を出し切るためのメンタルコントロールです。 

さらに学習で培った知識は、試験対策にとどまらず、免許取得後に海に出る際の安全対策にもつながります。一つひとつの学習が免許取得後のボートライフにつながるということを意識し、学習のモチベーションを高めていくことも大切です。

この記事で紹介した勉強法を参考に、自信を持って試験に臨み、一級小型船舶操縦士の一発合格を目指してください。

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